2月11日

 将来に対して前向きになったはいいものの、夫と向き合う気になれない。昨日までは、決定的なところで価値観の違いが露呈するのがこわかった。今日は、向き合ったところでこの人と一緒にいても幸せに暮らせないかもしれないという気持ちが強い。夫婦カウンセリングについて調べるもどこも頼りなく見えるし、そもそも、肝心の夫に私自身が期待できない。本人が言うとおり、彼はもともとこういう人で、私が見ていたあの一年ぽっきりの間の彼が別人だっただけなのだと思う。その彼が多少変わったところで、私は、あの夜に離婚を言い渡されたこと、一年半をあっさり否定されたことを許せるだろうか。

 わからない。いまは被害者感情が強くて正常に判断できる気がしない。結婚式のキャンセル料について連絡が来たことが関係していると思う。金額がどうというより、ただ消耗する。振込確定のボタンを押す前、「もう結婚式はしない?」と聞いてみたら、「うん」と返ってきた。「もう一生しない?」にも「うん」。結婚式が、私にとってこんなに大切なものだったとは。それとも、土壇場でちゃぶ台をひっくり返され、片付けもしないことに怒っているのだろうか。昼間は、寝顔を見てかわいいと思ったりしていたのにね。

2月10日

 19:30〜オンライン面談。今日は久し振りの出社で、私は広い会議室に一人。一通り話すと、上司は「誰にも言わない。いまは旦那さんのことだけに向き合っていていいよ」と言った。いつかは、と思っていた職種への異動の話が出ていると聞いたのは一月ほど前。離婚したら私は恐らく生まれ育った街へ戻るから、こんなタイミングの異動なんて迷惑なだけだろうと思っていたら、「その時は仕方ないから、いまは余計な心配をしないでいい」と言ってくれた。

 父親にも母親、片手ではおさまらない友達だけではなく、上司にまで恵まれていることがわかった。しっかり向き合った先であれば、どちらに転んでもいいと思えた。当時の私たちが出会ってしまった以上、交際し、結婚することは避けられず、仮にこうなる未来が見えていたとしても、私は平気で無視しただろう。だから、いま起きていることは全て仕方のないこと。せめて後悔しないように、都度逃げることなく向き合い、頭を使って考え、正しいと思うことをするだけ。大変だけれど難しくはない。

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2月9日

 昨日も今日もお昼に1時間半以上眠って、目の前のすぐ反応できることを片付けて、決めていたことにだけ取り組んで、適当に働いている。9時過ぎ、普通にしている夫と同じ空間にいることがつらくなって夫が居間にいない隙に外へ出た。その間に、友達から同じようなLINEが届いて、同じようなというのは、みんな「話してくれてありがとう」から入り、私の心身を案じて優しい言葉をかけつつ自分なりの考察を書き、最後は、「いつでも電話しよう!」と締めくくってくれるのだけど、本当にみんなそう。両親はもちろん、友達の方が夫よりもずっと私のことを大切にしてくれている。うれしいことなのに、さみしい。

 心配されたくて出てきたわけではないにしても、行く先も告げずに外へ出て1時間半もの間帰らないというのに一つも連絡がこないので、もうここまできたかとまた一段階落ちるのを感じながらセブンイレブンでお惣菜を見ていたら着信。お風呂に入っていたと思っていたらしい。いつ誰がお湯を貯めていたんだよ、と思いながらも少しだけ安心して、夫の分も買って帰った。

2月8日

 服はやはり見て買わないとだめなのかもしれない。オンラインで買った服、写真で見た時ほどかわいいと思えない。

2月7日

 昨日、話すだけ話して、聞きたいことを聞いて、頭と頭をつけて目を瞑ったらすぐに眠れた。

 友達に今回のことを相談した。わかっていつつ流していたこと、想像できていなかったことがあったと気付けてよかった。私にとっていちばんいいであろう方法を考えてくれたり、いつでも電話して、Zoomもいつでも待ってるからと手を差し伸べてくれたり、怒ってくれたりして、何も解決していないけれど心が癒された。

2月6日

 思っていることや感じたことはなんでも表現するのがよくて、困ったときにはすぐに頼ってほしくて、命に代えても守ると言っていたんじゃなかったっけ。あの頃の彼に会いたい。

2月5日

 母も父も、離婚した方が私のためだと言う。できるだけ早い内に、でも気持ちの整理がついてからでいい、と添えて。母は昨日一日中、弁護士について調べてくれていた。二人の貯金をみんな私が持って出て、結婚式のキャンセル料を夫に払わせるのだと言っていた。制裁の加え方がすごい。

 暖かい床の上で眠りに落ち、ふと目を覚ますと二人は私についての話をしていた。母は、こんなに私を大切にしない人とはもうやめた方がいいと言い、父は、それはそうだと思うが最後は本人の意思に任せるしかない、たとえ自分たちが気に入らなくても本人がいいなら仕方ないと言った。こんなに大切に育てられ、いまもそれは続いているのに、自分で選んだ相手にこんな扱いをされているようでは親不孝だと思う。でも、そう簡単には何も決められない。たしかにいまの夫はひどい。でも、好きなところもいいところも、たくさんあるから。

 大切にするってどういうこと?重い荷物を持ってくれたり、嫌々でも外出に付き合ってくれたりするのは違う?と本気で尋ねたら、そんな一瞬のことではなくて、もっと根本的な、日常的なことだと教えてくれた。大切にしていたら、結婚相手に「一人でいたい」などと離婚を突きつけたりしないし、たとえ言葉選びが正確でなかったとしても、「入籍したのは名古屋へ連れてくることになったから」とも言わない。

 私は、彼を大切にできていただろうか。今回の件はそういう問題ではないにしても、すぐには頷けない。

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2月4日

 夫や、夫を連想させるもの・景色が写る全ての写真やデータを消したら、気持ちがすっと落ち着いた。あの頃の彼はもういないから、思い出だけとっておいてもつらいだけ。

2月3日

 仕事があってよかった。表情は上手く動かないが、ほとんどずっとベッドに寝転んでいる夫にキスをしたら笑顔になったのを見たとき、自然と笑っていた。週に一度のランチ会でみんなの話がおもしろかったときも、川崎と千葉の試合で選手らがそれぞれに妙な動きをしたときも、初めてまともに聞いた東海オンエアラジオがおもしろかったときも。金曜と土曜は実家に泊まることにした。式場にキャンセルのメールを送り、リマインダーにホテルへのキャンセル連絡のタスクを追加した。届いたばかりのシューズは返品するかもしれないと思って、梱包材をごみ箱から救済した。

2月2日

 招待状の発送準備をする私の肩に手を置き、真面目なトーンで「結婚式、延期しない?」と言う。思わず振り向く私の、目にかかる前髪を指で掬う。その声色で、一言で何を言いたいかわかった。延期ではなくて中止でしょう。夫の、一年半ほど考え続けた末に完成したという結論を耳にして、私は真剣に、ずっと首を横に振っていた。生活が変わったから。あなたも私も疲れていて、その上、お互いの存在に慣れたから。そんなの私だって考えたことはある。でもそれはいま、必ずしもとらなければならない選択ではないよ。色々話したけれど夫の主張は変わらない。胸の真ん中に穴が空いてしまった。明日捨てられるペットボトルに、立場を代わってほしいと思った。ここで死んだらさすがにまずいだろうとは思うものの、約3年前に戻るか、やはり、消えたい。

1月31日

 何もしたくなくて、時間が経てば何かがどうにかなると半ば信じたまま怠惰に一日を過ごし、食べる以外の時間は漫画を読むか眠るかしていた。20時半、不機嫌なまま台所に立ち昨日の残りもので夫に夕飯を出し、さらにその残りものとオートミールで私も夕飯を済ませる。夫にはお皿洗いとお風呂掃除を任せて、その間に床を掃除して、お湯に浸かる間に夫に洗濯物を任せて、全身がきれいに洗われてようやく落ち着く。昨日の夜から機嫌が悪いのはホルモンバランスと夫のせいだろうと思って、せめてコントロールできるものはとピルを飲むのを少し早めに切り上げた。

 最近、嫌になるとすぐ離婚という選択肢に手を伸ばしそうになってよくない。まだ早い。まだ早いというか、きっとそうではない。

1月30日

 昼過ぎ、まだ眠る夫を置いて美容院へ。トリートメントをして毛先を整える。ロングヘアでカラーもしないのにこれだけの頻度で通う客も珍しいだろうと思ってふと、半年に一度で済む人はどうしているんだろうかと思いますと呟くと、本当にそうですよねと私が想定していなかったトーンで返ってきた。私は2年くらい前まで当たり前にカラーをしていたので、あとはおそらく髪が乾燥しやすいので、毛先が広がったり目に見えて傷んだのを放置したくない気持ちもあって頻繁に通わざるを得ないだけ。

 テレビ塔を囲う広場(何と呼ぶのかを知らない)にできたタイ料理屋へ寄った。昨日の夜から何も食べていなくてお腹が空いていた。トムヤムクンのランチセットにスパイシーなチキンソテーを追加。店内はがらがらに空いていたのにキッチンには三人も、フロアにも三人も店員がいた。このがらがらのなか、予約をして入ってくる人もいた。

 そのあとは三越のRMKで久し振りに化粧品を買い、既に日が落ちようとしているなか歩いて帰った。いつものスーパーに寄り、今夜使う野菜と豚肉、補充が必要だったオリーブオイル等々をカゴに入れる。帰り着くと、未だにこんこんと眠る夫にくっついてうたた寝…のつもりが立派に眠っていた。餃子を頼む?という魅力的な提案をおしきって深夜にキッチンへ立つ。豚肉にコチュジャンやら甜麺醤やらごま油やらを揉み込んで、乱切りにした茄子とピーマンと一緒に炒めるだけ。あとは葱とえのき茸の中華スープも。炒め物はレシピ通りだと少し決め手に欠けたので、オイスターソースとはちみつときび砂糖を少しずつ追加した。せっかくおいしかったのに、何か、夫との間に嫌なことがあって不貞腐れたようにしてベッドへ潜り込んだっけ。何が嫌だったのかもう覚えていない。

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 レシピはこれ。玉葱はなんとなく入れていない。

チェユクポックム(豚のコチュジャン炒め) by 松山絵美 | レシピサイト Nadia | ナディア - プロの料理家のおいしいレシピ

1月29日

 嵐のように時間が過ぎていき20時半、すっかり気を許したグループの皆さんとiPhone越しにお酒を飲んだ。昼頃から食べたかったたこ焼きは薄く伸ばしためんつゆにつけて(出汁パックでちゃんと準備すればよかったといまになって思うけれどこれはこれでよし)、はじめて食べたチーズタッカルビ、お昼の残りのサラダといつか作った茄子とエリンギの焼き浸し。0時に解散し、夫に連絡を入れるとスコンと眠りに落ちた。